経済/経済安全保障
レアアース供給8割減なら日本GDP2.3%減 主要国で最大の打撃とIMF試算
日本経済新聞(2026年7月28日)•2026年7月28日
IMFは、レアアースの供給が8割減り代替も利かない事態を想定した試算で、日本の実質GDPが2.3%押し下げられると分析しました。比較対象となった5カ国の中で、日本への打撃が最も大きいという結果になっています。
これまでの流れ
今回の試算の背景にある経緯を振り返ります。
2025年11月7日
高市首相の国会答弁で日中関係が悪化
高市早苗首相が衆院予算委員会で、台湾有事が日本の「存立危機事態」に該当し得るとの認識を示す答弁を行いました。中国側はこれに猛反発し、水産物の輸入停止や日本への渡航自粛の呼びかけなど、一連の対抗措置に乗り出したと報じられています。
2026年1月6日
中国が対日デュアルユース品の輸出を即日禁止
中国商務部は、軍民両用(デュアルユース)品目について、日本の軍事関連の需要者・用途向けの輸出を即日禁止すると発表しました。対象品目の詳細は明らかにされていないものの、レアアースを含む既存の輸出管理リストの運用が対日で厳格化されたものと受け止められています。
2026年2月24日
レアアース・レアメタルを名指しで輸出禁止に
中国商務省は三菱重工業グループやJAXA、防衛大学校など日本の20組織を「輸出管理規制リスト」に指定し、レアアース・レアメタルを含むデュアルユース品の輸出を禁止すると公告しました。スバルやENEOSなど別の20組織も、最終用途を確認できないとして「監視リスト」に追加されています。
2026年7月28日
今日
レアアース供給8割減なら日本GDP2.3%減 主要国で最大の打撃とIMF試算
要点
- 国際通貨基金(IMF)は、レアアースの供給が代替の利かないまま8割減少した場合を想定し、各国の実質GDPへの影響を試算しました。日本は2.3%の押し下げとなり、比較対象国の中で最大の影響を受けるとの結果になっています。
- 比較対象は米国、ドイツ、英国、フランス、インドの5カ国で、日本以外の国では影響がこれを下回ったとされています。半導体や自動車、電子部品などハイテク製品の生産比率の高さが、日本の相対的な脆弱性につながったとみられます。
- レアアースは世界生産の大部分を中国が握っているとされ、中国が対日輸出管理を強化する動きをみせる中、供給網を特定国に依存する構造の危うさが改めて浮き彫りになりました。
- 政府はサプライチェーンの多元化や代替材料の開発支援を急ぐ方針を示していますが、実効性のある対策の実現には時間がかかるとの見方も出ています。
なぜ重要か
今回の試算が注目されるのは、日本が比較対象国の中で最も大きな打撃を受けるという結果が、国際機関であるIMFの分析によって示された点にあります。日本は高性能化が求められるハイテク製品の生産でレアアースへの依存度が高い一方、調達を特定国に頼る構造を抱えており、その脆弱性が数値として裏付けられた形です。半導体や自動車、電子部品など基幹産業への影響が大きいとみられ、経済安全保障の観点からも見過ごせない結果だといえます。
この先の見立て
政府はサプライチェーンの多元化や代替材料の開発支援を急ぐ方針を示していますが、実効性のある体制づくりには時間がかかるとみられます。国内では南鳥島沖の海底泥から中重レアアースが確認され、内閣府が2027年2月に大規模採取試験を計画するなど調達源の分散に向けた動きも進んでいますが、商業化の採算性は依然不透明です。中国の輸出管理強化の動向とあわせて、日本がどこまで調達構造の脆弱性を減らせるか、今後の対応が注目されます。
※ IMFの試算による米国・ドイツ・英国・フランス・インドそれぞれのGDP影響幅など詳細な数値は、原記事が会員限定のため本稿執筆時点で確認できていません。日本が最大の影響を受けるという比較結果を中心にお伝えしています。
出典記事を読む
日本経済新聞(2026年7月28日)
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