決算・化学
決算:三菱ケミカルが上方修正、4〜9月純利益22%減に ナフサ高騰で在庫益
日本経済新聞•2026年7月31日
三菱ケミカルグループは7月31日、2026年4〜9月期(上期)の連結最終利益見通しを従来予想の590億円から860億円へ上方修正すると発表しました。ナフサ価格の上昇による在庫評価益が主な要因で、半導体関連材料はAI投資を背景に底堅い需要が続くと見込んでいます。
これまでの流れ
化学業界の業績は、原料価格や地政学リスクの影響を受けやすい構造にあります。
中東情勢の影響
地政学リスクが原料価格や在庫戦略に波及
中東情勢の緊迫化は、原油・ナフサ価格の変動を通じて石油化学業界の業績に直接的な影響を及ぼすほか、企業が供給途絶リスクに備えて在庫を積み増す動きにもつながっているとされています。
半導体材料事業の位置づけ
AI関連需要が化学メーカーの一部事業を下支え
三菱ケミカルグループを含む化学メーカー各社にとって、半導体製造プロセスで使われる関連材料事業は、生成AI・データセンター投資の拡大を背景に相対的に堅調な需要が見込める分野として位置づけられています。
2026年7月31日
今日
決算:三菱ケミカルが上方修正、4〜9月純利益22%減に ナフサ高騰で在庫益
要点
- 三菱ケミカルグループは7月31日、2026年4〜9月期(上期)の連結最終利益見通しを、従来予想の590億円から860億円へと45.8%上方修正すると発表しました。
- 前年同期比では22%減益となる見通しですが、当初想定していた46.4%減からは減益幅が大きく縮小しています。
- 4〜6月期の連結最終利益は前年同期比2.9倍の577億円となりました。ナフサ(石油化学製品の原料)価格の上昇により在庫評価益が膨らんだことが主な要因です。CFOは、中東情勢の悪化を警戒した顧客企業による在庫積み増しの動きが複数の事業分野で見られたと説明しており、4〜6月期だけで約480億円の在庫評価益が生じたとしています。
- 下期にかけてはナフサ価格が下落に転じると見込まれており、在庫評価益によるかさ上げ効果は薄れる見通しです。一方、半導体関連材料については、生成AI関連投資を背景に底堅い需要が続くと見込んでおり、通期の最終利益予想は従来の1270億円で据え置いています。
なぜ重要か
三菱ケミカルグループの上方修正は、減益自体は続いているものの、その幅が想定より縮小したという『相対的な改善』を示すものです。在庫評価益という一時的な要因が業績を押し上げている点には注意が必要で、下期にはその効果が薄れる見通しであることも会社側が明言しています。一方で、半導体関連材料への底堅い需要期待は、AI投資ブームの恩恵が半導体メーカーや電子部品メーカーだけでなく、素材産業のすそ野にまで及んでいることを示す一例といえます。
この先の見立て
下期にかけてナフサ価格が実際にどう推移するか、また在庫評価益の反動がどの程度業績に影響するかが焦点です。半導体関連材料の需要が想定通り底堅く推移するかどうかも、通期業績を見通す上での重要なポイントになりそうです。
※ 下期の業績見通しはナフサ価格など市場環境の変動に左右されやすく、記事執筆時点(2026年8月1日)の会社側発表に基づく内容です。実際の着地とは異なる可能性があります。
→