経済/社会保障
介護保険の2割負担拡大、くすぶる「5度目の見送り」論
日本経済新聞•2026年7月20日
介護サービスを利用する際の自己負担を2割とする対象者の範囲拡大をめぐり、政府はまた結論を先送りする可能性が出ています。次期介護保険事業計画の策定に向け、高齢者の家計と介護事業者の経営を左右する論点です。
これまでの流れ
先送りが繰り返されてきたこれまでの経緯を、時系列で振り返ります。
2015年8月〜
2割負担制度を導入
一定以上の所得がある高齢者(合計所得160万円以上、単身で年金収入のみの場合は280万円以上)を対象に、サービス利用時の自己負担割合が1割から2割に引き上げられました。介護保険制度の持続可能性を高める狙いがあったとされています。
2022年12月〜2023年12月
対象拡大の議論が難航、相次ぎ先送り
2割負担の対象拡大をめぐる議論は2022年から本格化しましたが、2022年12月に一度先送りされた後、2023年6月の骨太方針でも先送りが実質化し、同年12月の予算編成過程でも結論に至らず、2022年以降だけで3回にわたり結論が先送りされたと報じられています。
2025年12月24日
4度目の先送りを正式決定
上野賢一郎厚生労働相と片山さつき財務相の折衝により、年内の結論が見送られました。結論は2026年度末までに持ち越す方針が示され、次期介護保険事業計画(2027年度から)の策定にあわせて改めて議論されることになりました。
2026年7月20日
今日
介護保険の2割負担拡大、くすぶる「5度目の見送り」論
要点
- 厚生労働省は、次期介護保険事業計画(2027年度から)の策定に向け、2割負担の対象となる高所得高齢者の範囲拡大を検討しています。
- 対象拡大をめぐる議論は2022年から本格化しましたが、対象者や与党内の慎重論を受け、これまで4回にわたり結論が先送りされてきました。
- 直近では2025年12月24日、上野賢一郎厚生労働相と片山さつき財務相の折衝により年内決定が見送られ、結論は2026年度末まで持ち越されることになりました。
- 今回も「5度目の先送り」となる可能性が指摘されており、高齢者の家計や介護事業者の経営への影響が注目されています。
なぜ重要か
介護保険の2割負担対象が拡大されれば、対象となる高齢者の自己負担額は単純計算で2倍に増える可能性があり、サービス利用控えにつながる懸念があります。一方で、拡大を見送り続ければ現役世代の保険料負担や公費負担が重くなり、介護保険制度そのものの持続可能性に影響するとされています。高齢者の生活と制度の存続をどう両立させるかという、社会保障政策の根幹に関わるテーマとして受け止められています。
この先の見立て
結論は2027年度からの次期介護保険事業計画の策定に合わせ、2026年度末までに持ち越される見通しです。与党内の慎重論や関係団体の反発が根強いことから、期限直前まで議論が難航し、再び先送りとなる可能性も指摘されています。今後は、対象範囲の線引きや低所得者への配慮措置なども含め、年末に向けた社会保障審議会や予算編成過程での議論の行方が注目されます。
※ 「5度目の先送り」となるかどうかは本稿執筆時点(2026年7月20日)で確定しておらず、与党内の調整や予算編成の進行状況により、結論の時期や内容が変わる可能性があります。
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