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中国で「顔をAIに貸す」新ビジネスが拡大、動画生成AIの普及で無断ディープフェイク対策の一環に
GIGAZINE•2026年7月28日
中国で、自分の顔の利用権をAI企業にライセンス提供し、生成コンテンツに使ってもらう新しいビジネスが広がっています。背景にあるのは、動画生成AIの普及に伴う無断ディープフェイク動画の急増です。
これまでの流れ
この動きが広がるまでの経緯を、関連する出来事とあわせて振り返ります。
2023年1月
中国が「深層合成規定」を施行
中国のインターネット監督当局が、AIによる顔交換や音声生成といった「深層合成」技術を対象とする規定を施行しました。生成コンテンツへのラベル表示や本人の同意取得を事業者に義務付ける内容で、無断のディープフェイク利用を規制する初の本格的な法制度とされています。
2024年6月
北京の法院がAI顔交換で初判断
北京インターネット法院が、本人の同意なくAIで顔を入れ替えた動画を有料で提供していたアプリの運営者について、初めての司法判断を示しました。肖像権の侵害には当たらないとしつつも、無断で顔画像を利用した行為は個人情報の権利を侵害すると判断し、AI生成コンテンツにおける顔の扱いに一石を投じました。
2026年3月
無断のAI顔交換に違法判断、顔ライセンス業も始動
北京インターネット法院は、著名人の肖像を無断で使用したAI生成ドラマをめぐる訴訟で、画像を加工した場合であっても本人の許可なくAIで顔を入れ替える行為は違法だとする判断を示し、中国の国営メディアからも重要な先例として広く取り上げられました。同じ月には、顔の利用権を仲介する「ActID」もサービスを開始しています。
2026年7月28日
今日
中国で「顔をAIに貸す」新ビジネスが拡大、動画生成AIの普及で無断ディープフェイク対策の一環に
要点
- 成都を拠点とする「New Claw」は、俳優やモデルなどが自分の顔写真の利用権をAI生成コンテンツ向けに販売できるプラットフォームで、性別や年齢、顔の系統などで検索できるカタログを備えているとされています。価格は用途や顔のカテゴリーに応じて15~700ドル程度とされ、値崩れを防ぐため1枚あたり500元(約74ドル)の最低価格が設定されているといいます。
- 2026年3月に深圳でサービスを始めた「ActID」には、これまでに約800人が登録し、うち約300人が顔のライセンス提供に同意したとされています。料金は1話あたり99~500元(約15~74ドル)で手数料は10%とされ、無断利用の監視や弁護士によるサポートも提供されているといいます。
- こうしたサービスが広がる背景には、無断のディープフェイク被害の深刻化があります。ByteDanceが運営するAIドラマアプリ「Hongguo」では、2人のインフルエンサーの顔を無断で使用・加工した作品が4000万回以上再生されて削除される騒動が起き、同社は2026年に入ってから顔や声を無断で使ったAI生成動画を8万5000本超削除したと報じられています。
- 中国のマイクロドラマ市場では2026年1~3月に公開された作品の95%超がAIを用いて制作されたとされる一方、広州インターネット法院ではこの3年間で顔の無断使用をめぐる訴訟を約700件審理してきたといいます。専門家からは、顔データ提供時の許諾範囲があいまいなまま契約が交わされる例が多く、最終的な利用目的を本人が把握しきれないリスクも指摘されています。
なぜ重要か
この動きは、生成AIによって仕事を脅かされてきた俳優やモデルが、逆に自分の肖像をAIに「貸す」ことで新たな収入源に変えるという関係性を映し出しています。無断のディープフェイクが社会問題化する中、正規のライセンス市場は被害の抑止につながる面がある一方、専門家からは顔データの利用範囲があいまいなまま契約が交わされる例も多く、一度提供した生体情報を本人が長期にわたり完全にはコントロールできなくなるリスクも指摘されています。
この先の見立て
中国のマイクロドラマ市場でAI活用が急速に広がる中、顔のライセンス取引は今後も拡大が見込まれる一方、契約内容の透明性の確保や無断利用の監視体制の強化が課題として残ります。ByteDanceのように似通ったAIキャラクターの氾濫を問題視し是正に動く事業者も出てきており、法整備や業界慣行の整備が利用者保護とビジネスの発展の両立にどうつながっていくか、今後の展開が注目されます。
※ 登録者数や取引件数、削除件数などの数値はプラットフォーム運営者への取材や現地報道に基づくものであり、第三者機関による検証は確認できていません。今後の運用状況により変動する可能性があります。
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