AIモデル
AMD、自社GPUのみで学習した完全オープンソースのMoE型AIモデル「Instella-MoE」を公開
GIGAZINE•2026年7月28日
AMDが、自社製GPUのみで学習した完全オープンソースのAIモデル「Instella-MoE」を公開しました。学習コードから重みまで包み隠さず公開する姿勢が特徴です。
これまでの流れ
この発表に至るまでの流れを振り返ります。
2025年3月
初代「Instella」を発表
AMDはInstinct MI300X GPU128基のみを用いて学習した、30億パラメータの完全オープンな言語モデル「Instella」シリーズを初めて公開しました。自社GPUだけでの学習実績を示す最初の一歩となりました。
2025年8月
推論特化版「Instella-Math」を公開
「Instella-3B-Instruct」をベースに、数学的な推論や思考の連鎖に最適化した「Instella-Math」を公開しました。教師ありファインチューニングや強化学習に用いたデータまで公開する姿勢が引き継がれています。
2026年7月22日
Anthropicへ最大50億ドルの出資を発表
AMDはAnthropicとの戦略的提携を発表し、GPU「Instinct MI450」シリーズを最大2ギガワット規模で導入する計画とあわせて、最大50億ドルの出資を行うことを明らかにしました。Claudeを活用してROCmの開発を加速する協業も盛り込まれています。
2026年7月28日
今日
AMD、自社GPUのみで学習した完全オープンソースのMoE型AIモデル「Instella-MoE」を公開
要点
- 総パラメータ数160億のうち、実際に推論時に働くのは約28億のみという、計算負荷を抑えながら高い性能を狙うMixture-of-Experts構成が採用されています。
- 学習の最初から最後まで、AMD製のInstinct MI300X/MI325X GPUと独自ソフトウェア「ROCm」のみが用いられており、NVIDIA製GPUに頼らない開発体制が実証された形です。
- 事前学習版から強化学習を経た「思考版」まで計6種類のモデルに加え、学習用フレームワーク「Primus」やコード、データ構成までGitHubとHugging Faceで公開されています。
- 強化学習を適用した思考版は、Googleの軽量モデル「Gemma-4-E4B-it」よりも少ないアクティブパラメータ数で上回るスコアを記録したと報告されています。
なぜ重要か
NVIDIA製GPUが主流のAI開発において、AMDが自社ハードウェアと自社ソフトウェアだけで大規模モデルを学習し、性能や再現に必要な情報まで公開した点は、開発体制そのものの実力を示す試みといえます。Anthropicとの提携でROCmの改良を加速させている時期と重なることも、AMDが開発者コミュニティの信頼獲得とエコシステム拡大を急いでいる背景として読み取れます。
この先の見立て
Instella-MoEが開発者にどこまで採用され、NVIDIA製GPU向けに最適化された既存の実装と遜色なく扱われるかは今後の検証次第です。2027年前半に予定されるInstinct MI450の本格出荷や、Anthropicとの協業によるROCm改善が伴えば、AMDのAI基盤としての存在感はさらに増していく可能性があります。
※ 本文中の性能スコアはAMD公式ブログで公表された数値に基づくもので、第三者による独立検証ではない点にご留意ください。
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